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<<8.サンチョ・パンサの故郷
9.百姓に未来がある
日本で足利の世が続く頃、16世紀初頭、ヨーロッパは、ルネッサンスを経て大航海時代の真っ只中にありました。その頃、あるユニークな文学が作られました。アメリカ大陸の発見者といわれるアメリゴ・ヴェスプッチの船団に加わっていた一人が語るある国の物語です。その物語の中で、次のような紹介がされています:
この国では農業が、男女の別なく全ての国民に共通な仕事となっています。子どものときから農業について教えられ、誰もが農業に習熟しています。農業の他にも、いろいろな技術を習得しています。毛織、亜麻織、石工、鍛冶、大工などの技術です。衣服はすべて家庭で作られるので、仕立屋はありません。30世帯に一人の家族長という役が選ばれ、その任務は、怠けてぶらぶらしている人間がいないよう、だれもが仕事に精を出すよう、また、働きすぎて疲れ切ってしまわないよう注意し監督することにあります。
国民は、一日、わずか6時間を労働にあてるに過ぎません。午前中3時間働き、昼食後は2時間の休息と3時間の労働、夕食後、1時間は音楽をしたり、高尚な議論に費やし、楽しい時間を持ちます。夜8時頃には就寝し8時間の睡眠を取ります。空いている時間は各人が職務から解放された貴重の時間とこころえ、自分の好きな何かほかの有益な知識の習得などにこの時間をあてます。たとえば、毎日、早朝には講義が行われ、これに出席の義務があるのは学問研究のために選ばれた人たちだけですが、あらゆる種類のおおぜいの人がこの講義を聴きに集まって来ます。
6時間の労働で、必要な物資が生産されるかといえば心配はいらず、むしろ多すぎるくらいです。考えて見て頂きたい、他の国では、いかに多くの人間が遊んで暮らしていることか。多くの金持ち、紳士、貴族とよばれる連中、聖職者や無頼漢、乞食などがそれであり、実際に働いている人間は意外と少ないのです。金銭が全てを支配しているところでは、ただ奢侈、淫蕩な生活の要求を満たすために余分な職業がたくさん必要となってくるのです。そうした人間も有用労働に参加すれば、わずかな労働時間で十分まにあうはずなのです。
ほかにもこの国について多く紹介されていますが、上とは別の面でおもしろいことを紹介していますので、ほんの少しだけ:
この国の人々は戦争を大いに嫌っています。戦争で得られた名誉ほど不名誉なものはないと考えているのです。男女とも軍事訓練に励んでいますが、それは自分と自分の国を守るためであってそれ以外に戦争はしません。周辺で戦争ともなれば、この国は資金援助はするが決して兵隊は送りません(どこかにも、こんな国があります)。
お気づきの方もいらっしゃいましょうが、この物語は、トマス・モア「ユートピア」です。当時の知識で、よくぞこれだけのことを考え出したものか、と感心させられますが、現代の時点で未来社会をこのように描くことも可能なように思われます。トマス・モアは、その時代の百姓を日頃みていて、そこからこのユートピアを考え出したのではないでしょうか。当時の百姓の日常の中にこうした要素が眠っているとみたのではないかと想像します。つまり、どの時代にも、百姓ほど、人間の本質的特性を体現するものはいない。未来も、百姓のなかにある、と思えませんか。
9.百姓に未来がある
日本で足利の世が続く頃、16世紀初頭、ヨーロッパは、ルネッサンスを経て大航海時代の真っ只中にありました。その頃、あるユニークな文学が作られました。アメリカ大陸の発見者といわれるアメリゴ・ヴェスプッチの船団に加わっていた一人が語るある国の物語です。その物語の中で、次のような紹介がされています:
この国では農業が、男女の別なく全ての国民に共通な仕事となっています。子どものときから農業について教えられ、誰もが農業に習熟しています。農業の他にも、いろいろな技術を習得しています。毛織、亜麻織、石工、鍛冶、大工などの技術です。衣服はすべて家庭で作られるので、仕立屋はありません。30世帯に一人の家族長という役が選ばれ、その任務は、怠けてぶらぶらしている人間がいないよう、だれもが仕事に精を出すよう、また、働きすぎて疲れ切ってしまわないよう注意し監督することにあります。
国民は、一日、わずか6時間を労働にあてるに過ぎません。午前中3時間働き、昼食後は2時間の休息と3時間の労働、夕食後、1時間は音楽をしたり、高尚な議論に費やし、楽しい時間を持ちます。夜8時頃には就寝し8時間の睡眠を取ります。空いている時間は各人が職務から解放された貴重の時間とこころえ、自分の好きな何かほかの有益な知識の習得などにこの時間をあてます。たとえば、毎日、早朝には講義が行われ、これに出席の義務があるのは学問研究のために選ばれた人たちだけですが、あらゆる種類のおおぜいの人がこの講義を聴きに集まって来ます。
6時間の労働で、必要な物資が生産されるかといえば心配はいらず、むしろ多すぎるくらいです。考えて見て頂きたい、他の国では、いかに多くの人間が遊んで暮らしていることか。多くの金持ち、紳士、貴族とよばれる連中、聖職者や無頼漢、乞食などがそれであり、実際に働いている人間は意外と少ないのです。金銭が全てを支配しているところでは、ただ奢侈、淫蕩な生活の要求を満たすために余分な職業がたくさん必要となってくるのです。そうした人間も有用労働に参加すれば、わずかな労働時間で十分まにあうはずなのです。
ほかにもこの国について多く紹介されていますが、上とは別の面でおもしろいことを紹介していますので、ほんの少しだけ:
この国の人々は戦争を大いに嫌っています。戦争で得られた名誉ほど不名誉なものはないと考えているのです。男女とも軍事訓練に励んでいますが、それは自分と自分の国を守るためであってそれ以外に戦争はしません。周辺で戦争ともなれば、この国は資金援助はするが決して兵隊は送りません(どこかにも、こんな国があります)。
お気づきの方もいらっしゃいましょうが、この物語は、トマス・モア「ユートピア」です。当時の知識で、よくぞこれだけのことを考え出したものか、と感心させられますが、現代の時点で未来社会をこのように描くことも可能なように思われます。トマス・モアは、その時代の百姓を日頃みていて、そこからこのユートピアを考え出したのではないでしょうか。当時の百姓の日常の中にこうした要素が眠っているとみたのではないかと想像します。つまり、どの時代にも、百姓ほど、人間の本質的特性を体現するものはいない。未来も、百姓のなかにある、と思えませんか。
おわり
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